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[GDC 2010]制作期間は16か月。膨大な作業が必要なFF13

日付:2010/11/02  転載:http://www.iroiro-rmt.jp  アクセス回数:1200

講演を行ったスクウェア?エニックスの田中雄介氏(写真左),小林功児氏(写真右)の二人
 世界最高峰ともいえる超美麗なムービーシーンがウリの「ファイナルファンタジーXIII」(以下,FF13)。そんな本作のムービーシーンは,いったいどうやって,あるいはどのくらいの作業量で作られたものなのだろうか? GDC 2010では,ムービーシーンの制作を手がけたスクウェア?エニックスの小林功児氏田中雄介氏らが登壇。ツールの選定からムービーの完成に至るまで,その手順が公開された。
 講演の題目は,「Real-Time Cutscene Workflow ?The Making of FFXIII Cutscenes?」というもの。FF13のカットシーン(=ムービーシーン)が出来るまでの制作過程を,事細やかに説明するという貴重な内容だ。世界屈指の大型タイトルでもあるFF13の開発体制とは,一体どのようなものだったのだろうか?


 講演の冒頭では,デザイナーの田中雄介氏からFF13全体の開発体制が説明された。FF13のために用意された開発チームは,シナリオ,プランニング,プログラミング,アート,サウンドなどの全14チームの完全分業体制。なかでも,ビジュアル面を重視するFF13では,当然のようにグラフィックス周りの布陣が最も厚く,キャラクターモデリングやテクスチャ,モーション,カットシーンなど,チーム全体の半分程度を占めるほどだ。
 今回の講演は,そのなかでもとくにカットシーン周りの制作工程にフォーカスしたもので,主にモーション,カットシーン,VFX(ビジュアル?エフェクツ)の三つのチームの話となる。ちなみにグラフィックス周りだけで,開発人員は120人規模,うちカットシーンを担当したのが40人前後になるのだという。

 カットシーンの制作に充てられた期間は,約16か月ほど。その期間のなかで,約6時間にも及ぶカットシーンを作らなければならない。時間的な猶予はあまりないため,複数のチームが並行して作業でき,なおかつ仕様変更による“後戻り”のないワークフローを,開発のはじめの段階で計画する必要性に迫られることになった。


 カットシーンの制作フローは,まずはシナリオを確定させるところから始まる。「こちら」の鳥山氏の講演でも触れられていたが,シナリオが確定しないことには,ムービー班は作業を始めることができない。なぜならシナリオの変更は,すなわちムービー周りの作り直しを意味することになり,そうなれば無駄な作業が発生してしまうからだ。
 よってまずは,シナリオを確定し,それに基づいて絵コンテを作成。そしてそれをもって,映画でいうところのプレビジュアライゼーション(プレビズ)ムービーを制作する。スクウェア?エニックス内では,これを「STEP1 Movie」と呼んでいたそうだが,このプレビズムービーを元に,関係する各部署が作業見積りを算出し,チーム編成や予算,スケジューリングなど,具体的な作業を行うフェーズへと落としこんでいくわけだ。これは,近年のハリウッド映画などで採られる手法とまったく同じやり方だ。
 ちなみにFF13におけるムービー制作には,Autodeskの「MotionBuilder」を採用しているらしく,プレビズムービーも,このMotionBuilderを使って作成。スタッフの多くが使い慣れていた「XSI」からの乗り換えは大変だったが,作業全体の効率化を見越して,こちらへの切り替えを決断したのだという。


 STEP1 Movieを元にして,モーションキャプチャデータなど,素材となるデータを収録していく。その際には,俳優をアサインして演技をしてもらうわけだが,より雰囲気を出すために,銃や乗り物を模した小道具を用意したりもしたらしい。
 ともあれ,モーションキャプチャなどのデータが揃った段階で,より完成版に近いバージョンのムービーである「STEP2 Movie」を制作。基本的には,この段階でほとんどシーンやカットについては完全にFixとしてしまい,関連部署からもコミット(同意)を得ていくという。



キャラクターの“演技”を支える細やかなモーション作成


 シーンやカットを確定させたところで,今度はキャラクターの詳細なモーションの作成に入っていく。

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