海洋冒険MMORPG「大航海時代 Online」に,新拡張パック「大航海時代 Online ?Cruz del Sur?」が(8月22日に)導入されてから約2か月が経過した。このアップデートによって,航海者の夢の一つである「世界周航」が可能となったわけだが,これについてプレイヤーからはどのような反応があったのだろうか。また,新要素である「航海者養成学校」「バトルキャンペーン」によって何が変わったのだろうか。そして,気になる次期大規模アップデート“Chapter2”の実装はいつになるのか。その内容とは。
これらについて,4Gamer読者にはもはやおなじみの,本作の運営プロデューサー渥美貴史氏と,開発ディレクター竹田智一氏に,“Cruz del Sur”の導入後の2か月を振りかえってもらうと共に,次期アップデートについて話を聞いた。
大規模アップデート“Cruz del Sur”の反応は?
4Gamer:
8月22日に“Cruz del Sur”Chapter1「Circumnavigation」(以下,Chapter1)が実装され,2か月が経過しましたが,プレイヤーの反応などはどうだったでしょうか。
(左から)竹田氏,渥美氏
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渥美貴史氏(以下,渥美氏):
ご存知のように,Chapter1で,いよいよ世界一周ができるようになったのですが,世界一周の航海にチャレンジしてくれたプレイヤーが多かったことが嬉しかったです。また,導入した要素のうち,航海者養成学校によって新規プレイヤーが非常に増えました。この航海者養成学校に入学すると,学校の生徒同士のチャットルーム,スクールチャットに参加できるのですが,当初は参加したいのに人数制限で入れなくなるくらいに大盛況でした。
4Gamer:
なるほど,やはり初心者が入りやすいようになったことが好影響に繋がったわけですね。ところで,そのスクールチャットですが,当初既存のプレイヤーを含めて,誰でも自由に参加できたので,やや混乱していたようですが。
渥美氏:
そうですね。実装当初は初心者/熟練者を問わず,興味を持ったさまざまなレベルのプレイヤーが殺到し,確かに混乱していました。しかし徐々にプレイヤーによる自治といいますか,本来の初心者向けという意図が伝わっていき,今は落ち着いています。さらに,その後のアップデートでスクールチャットへの入室制限を設けたことで,初心者がチャットに入りやすくなり,いまは良い雰囲気になっています。
竹田智一氏(以下,竹田氏):
初心者を優先するため,レベル30以上になると(参加人数が多いときは)スクールチャットに入れなくなったんですよ。でも,チャットが空いていれば,教官に話しかけてチャットに入ることはできます。そういうわけで,今チャットにいるレベル30以上のプレイヤーは,初心者へ色々とアドバイスしてくれるプレイヤーということになります。
渥美氏:
手間をかけてチャットに入って,初心者のフォローをしてくれる人がいるわけです。そしてスクールチャットで「初心者です」と初心者が話すと,「これで君も俺達の仲間だな」と答えるといった,暖かいやりとりも見られました。
4Gamer:
スクールチャットが既存のプレイヤーと,初心者が触れ合える良い場所になっているわけですね。
竹田氏:
そうです。「大航海時代 Online」(以下,大航海時代)は,ほかのタイトルに比べて世界観が独特だからということもあるのか,オンラインゲーム自体が初めてだというプレイヤーが多いのです。
渥美氏:
実は,Chapter1の導入後にプレイヤー人口も増えたのですが,同時に,体験版を遊んだ後にそのまま課金する人も増えました。これは,スクールチャットや航海者養成学校の実装で,初心者支援が充実したことで,大航海時代の遊び方が分かりやすくなったことも一因になっていると思います。
4Gamer:
なるほど。既存プレイヤーとの触れ合いが初心者の不安を取り除き,学校で遊び方を学ぶことで,引き続きプレイしようという動機付けになったわけですね。
渥美氏:
ええ,またスクールチャットによって,コミュニケーションが全般的に活性化しました。Chapter1のときもお話しましたが,熟練プレイヤーといっても,それまで軍人一辺倒で遊んできたプレイヤーもいるわけです。そのようなプレイヤーが航海者養成学校をきっかけとして生産に触れ,「ああ,生産ってこういうものなのか」と実感できたり,交易での名産品のコンボのような,若干難しいシステムの勉強になったりと,カリキュラムによって,プレイの幅が広がるきっかけになっているようです。
4Gamer:
たしかに,冒険や戦闘をメインにしていると,交易のシステムはちょっと難しいですね。よく分からないから,とりあえず利益の高い交易品をたくさん売ればいいのかみたいに。
渥美氏:
そうです。そういったプレイヤーにも,分かりやすく遊び方を提示することができたかなと思います。ほかにも,例えば沈没船では,冒険者が協力して何かを成し遂げるという部分の強化に成功したと思います。
4Gamer:
沈没船については,サルベージと曳航,この二つのスキルが必要になりますが,なかなかスキルの最大数に余裕がなくて一人でどうにかするのは大変ですね。
渥美氏:
ええ,実はそこは,まさに狙っていた部分です。簡単にスキル枠を増やしてしまうと,一人のキャラクターでなんでもできるようになってしまい,よりソロ傾向が強くなってしまいます。なので,まずはポンとスキルを二つ追加して,プレイヤー同士で協力してもらおうという意図がありました。
4Gamer:
なるほど,ソロ傾向の強い冒険者にもプレイヤー同士での協力やコミュニケーションを楽しんで欲しいということですね。さて,話は変わりますが,ついに世界一周が可能になったわけですが,それについてプレイヤーからの反応はどうでしたか?
渥美氏:
前提として,世界一周は名のある優れた航海者が成し遂げる,そんなステータス的なものだと位置づけています。世界一周を成し遂げることによって,一人前の名提督だと認められるわけです。
そこでChapter1にあわせて一緒に入れた,“サーカムライナー”という称号があります。これは世界周航を果たした航海者に贈られる称号なのですが,とても評判が良くて,世界一周達成者の称号を見た人たちが,サーカムライナーを目指して世界一周を成し遂げようと考えるきっかけになり,良いモチベーションになったかなと思います。
過酷な世界一周の航路をたどる旅に出るプレイヤー。その行く先では,さまざまな試練が……
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竹田氏:
世界一周はやはり,達成するのは容易ではないので,チャットで「まだ陸が見えないよ!」と繰り返している航海者を見受けました(笑)。
4Gamer:
私も“ウシュアイア”(南米最南端の補給港)からオーストラリアを目指したときに,40分くらい海しか見えない……と不安になりました(笑)。
渥美氏:
かなりの距離がありますから(笑)。その後,今日(10月31日)まで世界一周のレースイベントを行いましたが,腕に自信のある多くのプレイヤーに挑戦してもらえました。