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「FF14」「MDV-ADG9120X」で“6コア”の威力を体感せよ

日付:2010/11/20  転載:http://www.iroiro-rmt.jp  アクセス回数:1922

 つい先日、サーバ/ワークステーション向けCPUで1パッケージに8/12コアを詰め込んだAMDの新型Opteronが登場し、メニーコアCPUはいよいよオクタコア時代へと突入した。

【拡大画像やベンチマークテストの結果を含む記事】

 一方、コンシューマー向けCPUでは3月17日に登場した6コアの「Intel Core i7-980X Extreme Edition」(以下、Core i7-980X)が今後のコンシューマー向けCPUの最高峰となる。

 新たに投入されたCore i7-980Xは、これまでフラッグシップであったIntel Core i7-975 Extreme Edition(以下、Core i7-975)の4コア8スレッドから、6コア12スレッド(Hyper-Threadingにより)となったのが大きな特徴で、コア数および同時実行可能なスレッド数が一気に1.5倍に増えている。Core i7-980XはIntel Turbo Boost Technologyに対応しており1コア動作では最大3.6GHz、6コアのフル駆動時は3.33GHzとなる。

 また、CPUコアが2つ増えたため3次キャッシュメモリも2コア分の4Mバイト(2Mバイト×2)増加しCore i7-975の8Mバイトから12Mバイトへと増えている。コア数および3次キャッシュメモリの増加によるダイサイズの大型化が気になるが、High-Kメタルゲートを導入した32ナノ製造プロセスルールによってダイサイズはCore i7-975の263平方ミリから248平方ミリとむしろ小さくなっている。

 パッケージはLGA1366で、既存のIntel X58 Express搭載マザーでもBIOSアップデートで利用可能だ。また、製造プロセスルールの微細化によってTDPはCore i7-975と同じ130ワットのままであり、Core i7-975搭載マシンなら熱対策を講じることなく載せ換え可能だと思われる。今回はこの最新CPUをいち早く搭載してきたマウスコンピューターの「MDV-ADG9120X」を紹介しよう。

●メインメモリ12Gバイトを有効活用できる64ビット版Windows 7

 今回試用したMDV-ADG9120Xは、同社の販売するMDV ADVANCE Gシリーズの中でもハイスペック構成と呼ばれるハイエンドユーザー向けのモデルとなる。そのため基本構成で用意されるOSは64ビット版のWindows 7 Professionalだ(BTOでUltimateも選択可)。64ビット版のWindows 7は、32ビット版のようにメインメモリを4Gバイト以上搭載しても3Gバイトちょっとしか利用できないということはなく、搭載した容量を余すことなく利用できるメリットがある。重い処理をバリバリ行うことが可能なわけだ。

 MDV-ADG9120Xに搭載されるメインメモリは、標準で12Gバイトと十分過ぎるほどだ。6つあるメモリスロットに2Gバイトのメモリーモジュールが6枚装着されている(4Gバイトの3チャネル構成)。試用したマシンに装着されていたメモリモジュール自体はDDR3-1333(Kingston製、PC3-10600)であったが、533MHz駆動のPC3-8500相当での動作となる(メインメモリーは最大で24Gバイトまで搭載可能)。標準の12Gバイトでもほぼすべての用途で十分すぎるほどだが、メモリスロットに空きがないため、最大容量まで搭載したい場合は既存の2Gバイトメモリーモジュール6枚を4Gバイトモジュール6枚に丸ごと交換する必要がある。

●Intel X58 Expressチップセットを搭載したMSI製マザーボードを採用

 MDV-ADG9120Xに搭載されているマザーボードは、一見するとMSIの「X58 Pro-E」だ。CPU-Zでは「MCJ MSI X58 Pro-E」と表示されるので同社向けに若干のカスタマイズを施したバージョンであると思われる。

 マザーのCPUソケットはLGA1366で、チップセットはIntel X58 ExpressにICH10Rが組み合わされる。これにオーディオチップとしてRealtekの「ALC889」、パラレルATAおよびSATA増設用にJMicronの「JMB363」、1000BASE-T対応の有線LAN向けにRealtekの「RTL8111C」、IEEE1394a用にJMicronの「JMB381」を搭載する。サウンドチップのALC889は24ビット/192kHzの再生をサポートしているので標準搭載される10倍速Blu-rayドライブを使ってBlu-rayディスクの各種タイトルを高品位で再生することが可能だ。

 SATAポートはICH10Rの6ポートに加え、先述したJMB363の1ポートと合わせ計7ポートが用意されている。出荷時点でHDDと10倍速Blu-rayドライブに2ポートを消費しているが、5ポート残っているのでSATA機器の増設で困ることはない。RAIDを組めるICH10RなのでRAID0/1/0+1といった構成も可能だ。

 インタフェースとしては、背面のI/Oパネル部に6ポートのUSB 2.0、JMB363からのeSATAが1ポート、JMB381を使った6ピンのIEEE1394aポート×1、RTL8111Cを使ったギガビットLAN×1、ALC889からの8チャンネルオーディオ用ジャックと光デジタル音声出力、PS/2(マウス/キーボード各1)が並ぶ。本体前面側にUSB 2.0×2ポートに加え、マイクとヘッドフォンジャックといった構成だ。これだけあればインタフェース類に不足を感じることはないだろう。

●同社おなじみのミドルタワーケースに80Plus電源を搭載

 MDV-ADG9120Xのケースは、同社のMDV ADVANCE Gシリーズで共通のものだ。4つの5インチベイと、2つの3.5インチベイに加え、ケース内部に4台までのHDDを装着できる専用ベイが設けられている。標準構成では容量1テラバイトのHDD(7200rpm)となるが、BTOでSSD構成にすることも可能だ。3.5インチベイと専用ベイを合わせれば最大で6台までのHDDを搭載できる。

 また、電源はサイズの「鎌力4」750ワットモデルを搭載する。性能的にも80Plusと高い変換効率を誇る電源で、SLIやCrossFire X構成にも対応する。加えてSATA用の電源コネクタ(10個)やグラフィックスカード用の電源コネクタ(4個)と豊富に用意されているので、増設時に電源の変換コネクタや分岐コネクタを利用する必要がないのもうれしい。

 ケース内部のスペースにも余裕があり、メンテナンスや機器増設時にケース内部へのアクセスは楽に行える。大口径のCPUファンやスロット1段分を占めるGPU冷却ファン、本体背面のファンと、騒音源となるファンが3つ搭載されているのでノイズが気になるところだが、通常での利用なら気になるような音はせず非常に静かだった。ただし、CPUとGPUに高い負荷がかかるベンチマークテストや3Dゲームをプレイするような場合、うるさいと感じることはないもののそれなりの音は発生する。もっとも、むしろハイスペックな割には意外と静かだな、という印象が強かった。

●GeForce GTX 285を搭載、3-Way SLIやCrossFire Xにも対応

 MDV-ADG9120Xに標準搭載されるグラフィックスカードは、1Gバイトのグラフィックスメモリを積んだNVIDIAのGeForce GTX 285だ(試用したマシンには「ZOTAC GeForce GTX 285」が装着されていた)。DirectX 11に対応する新世代アーキテクチャ“Fermi”を採用するGeForceシリーズが登場したため、GeForce GTX 285は世代的に古くなってしまった感はあるものの、現状の3Dゲームをプレイするのであればまったく問題はなく、十分以上のの性能を持っている。

 ただ、このグラフィックスカードが例によって2スロットを占有する大柄で重いカードのため、ネジ2本でブラケットに固定するのは少々心許ない。このためMDV-ADG9120Xのケース内部には、側面からグラフィックスカードをがっちりと支える「VGAサポートバー」が用意されている。また、このマザーボードにはPCI Express x16スロットが3基あるので、NVIDIA製GPUなら3-Way SLI、ATIならCrossFire Xをサポートする。例えばハイエンドGPUを搭載した大柄なグラフィックスカードを3枚装着するような場合、前述のVGAサポートバーが大いに役立つはずだ。

 以上、MDV-ADG9120Xを紹介してきたが、登場直後のCore i7-980Xを搭載するだけあって、価格は25万9980円からとそれなりにする。ただし、これから単体販売されるCore i7-980Xは10?11万円前後になる見込みで、この価格で換算するとCPUの価格が本体価格の約4割を占める計算になる。CPU以外の構成で残りの6割と考えてみると無難な価格設定だろう。それでは、この高価なCPUがどの程度の性能を持つのか、定番のベンチマークテストで検証していこう。

●ベンチマークで6コア12スレッドのパワーの片りんを見た

 前述したように、今回試用したMDV-ADG9120Xは、CPUがCore i7-980X、メインメモリが12Gバイト、HDDが1Tバイト、グラフィックスにNVIDIA GeForce GTX 285を搭載し、OSに64ビット版Windows 7 Professionalを採用した構成だ。計測したベンチマークソフトは、PCMark05、PCMark Vantage(x64)、3DMark 06、3DMark Vantage、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、LOST PLANET体験版&ベンチマークDirectX 10版(64ビット)、THE LAST REMNANT体験版&ベンチマーク、CINEBENCH RELEASE10(64bit)だ。標準では1280×1024ドット(32ビット)で計測しているが、このうち3Dゲーム系のベンチマーク(LOST PLANET体験版&ベンチマークDirectX 10版、THE LAST REMNAN体験版&ベンチマーク)では1600×1200ドット(32ビット)でも計測した。なお、今回評価したのは試作機だったため、Turbo Boost動作によるクロック上昇が最大値まで働かず、ベンチマークのスコアが若干低くなってしまっている可能性があることをお断りしておく。

 まずはWindows7のエクスペリエンスインデックスを見てみよう。各スコアはCPUのスコアが7.8、グラフィックススコアはデスクトップと3Dゲームともに7.4、メモリが7.8でHDDの数値が5.8となっており、HDDが全体の足を引っ張る結果になった。総じてハイエンドモデルらしい良好な結果だが、さらに性能を求めるのであればBTOでSSDを選択するのも手だ。

 一方、各種ベンチマークテストの結果を見ると、6コア12スレッドの性能をすべて引き出しているとは言えず、Core i7-975搭載マシンと比べもそれほど大きな差が感じられない数値となった。これは6コア12スレッドをフル活用できる環境がまだ少ないのが原因だろう。しかし、マルチコアに対応したテスト項目が用意されているCINEBENCH RELEASE10(64bit)とCINEBENCH RELEASE11.5(64bit)では、6コア12スレッドによる処理速度を体感することができた。いずれも画面が12分割されてあっという間に処理が完了する様子は圧巻の一言に尽きる。実際、CINEBENCH RELEASE10では、1スレッドでの処理に対し5.43倍速く、CINEBENCH RELEASE11.5では1スレッド処理に対して6.93倍速い結果となっている。6コア12スレッドに対応する3Dゲーム向けパッチやアプリケーションが今後登場してくれば、その性能を余すことなく享受できるようになるはずだ。

●いますぐCore i7-980Xを入手したい人におススメ

 RAW現像などの画像処理やHD解像度の動画編集&エンコード、3Dグラフィックス関連のマルチコア対応ソフトウェアを利用している人なら、6コア12スレッドの恩恵は大きい。現状ではCore i7-980Xの持つ性能を100%引き出す環境が整っているとは言えないが、コンシューマー向けCPUの最高峰であることは間違いなく、少しでも作業時間を短縮したいと考えるなら検討すべき選択肢といえる。自作PC向けに供給されるCore i7-980Xの単品販売は4月中旬以降とも言われており、当分は品薄状態が続きそうだ。今すぐに6コア12スレッドの圧倒的な性能を手に入れたいと望むなら、ホワイトボックス系のデスクトップPCしか選択肢はない。その意味でもマウスコンピューターの「MDV-ADG9120X」は魅力的な1台だ。【小川夏樹】

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