マウスコンピューターのハイエンドゲームPCブランドである「G-Tune」シリーズに“PC USER限定モデル”が登場した。普通にBTOで選択するよりもかなりお得になってるぞ。
【画像:圧倒的ではないか我が軍は――ベンチマークで性能をチェック!】
つい先日、インテルのCore i7-980X Extreme Editionが登場し、「コンシューマ向けCPUの最高峰」の座が6コア12スレッドになった。その性能が突出していることは間違いないが、価格も余裕で10万円を超えてしまう。そんな中で交わされた会話が以下だ。
編集G 「Gulftownが登場したけどCPUだけで10万オーバーだと手が出ないすね」
小川 「だね。メインストリームはまだまだLynnfieldでしょ。パーツの選択次第ではGulftown搭載マシンに引けを取らない仕様だって組めるし」
編集G 「でもCPUがシステム全体のパフォーマンスを左右するわけだから、性能を追求するならやっぱりGulftownじゃないですかね」(キリッ
小川 「まあそうだけどさ、例えば3Dゲーム向けのマシンならSLI構成で描画性能を底上げできるわけだから。それにSSDを使えばもっと快適になるし、何もCPUに10万円なんて出さなくてもなぁ」
編集G 「それ、いいですね。“ミドルレンジの構成でハイエンドゲームまでこなせるPC”。その仕様でマシンを構成して、どこまで迫れるか試してみましょうよ」
小川 「……それ俺がやんの?」
担当G 「そうだなあ、CPUはLynnfieldからピックアップして、でもハイエンドに迫るマシン。なんか格好いいじゃないですか、ねえ?」
小川 「……(聞いてねえ)」
何気なしに交わされた会話から今回のPC USER特別仕様にまで発展するとは、そのときは思いもよらなかった――。
●マウスコンピューターのG-Tune「NEXTGEAR i500PA4」をカスタマイズ
話はとんとん拍子に進んで行く。こんなときだけはムダに仕事が早い編集Gがマウスコンピューターに交渉、まんまとG-Tuneブランドの「NEXTGEAR i500PA4」をベースモデルとして取り付けてきた。
G-TuneはマウスコンピューターのゲーミングPC専用ブランドで、同社の幅広いラインアップでもハイエンドモデルに位置付けられる。G-Tune専用のWebサイトで3Dゲームをバリバリ楽しみたいユーザーにマシンを提供しており、BTOメニューが豊富なのも特徴だ。今回のベースモデルであるNEXTGEAR i500PA4は、いわゆるミドルレンジに位置付けられ、標準搭載のCPUがIntel Core i7-860(2.8GHz)、OSに64ビット版のWindows 7 Home Premiumを採用した、価格と性能のバランスが取れたモデルだ。これをベースにあれこれと頭を巡らせて、超ハイエンドマシンに迫るスペックに仕上げていくのだ。
●パワーLEDボタンで5色からイルミネーションカラーを選択可能
まずはNEXTGEAR i500PA4の特徴を簡単に紹介しておこう。ゲーミングPCらしい大柄なケースのフロント下部には、イルミネーション用LEDが内蔵されており、電源を投入すると点灯するギミックを備える。このLEDはブルー/レッド/シアン/イエロー/マゼンタの発光が可能で、フロント部左側に設けられたパワーLEDボタンを押して切り換えられる仕組みだ。
本体ケースフロント部の5インチベイと3.5インチベイ部はG-Tuneロゴが施されたカバーで覆われており、それを開けると3.5インチベイ部に15種類のメディアに対応したカードリーダー/ライターが装着され、5インチベイ最上部には標準でDVDスーパーマルチドライブが搭載されている。
また、インタフェースに関してはケースフロント下部に2ポートのUSB 2.0ポート、およびヘッドフォンとマイク、本体背面部のIOポートには6ポートのUSB 2.0とギガビットLAN、オーディオ関連の各ジャック類、マウス/キーボード用にPS/2ポートが各1ポートが並ぶ。ゲーム向けマシンと考えれば、コントローラーなどを接続するUSBポートさえあればいいわけでその点では十分合格だろう。
なお、マザーボードをチェックして見たところMSIの「P55-GD65」というマザーボードが装着されていた。市販の製品とは異なり、同社向けにカスタマイズしたものが搭載されているため、インタフェースの数が異なっているようだ。もっとも、チップセット(Intel P55 Express)やオーディオチップ、追加ストレージ用のチップ以外は市販版に準じた仕様になっていると思われるのでマザーボード本来の性能に違いはないはずだ。
本体ケースの内部は広々としており、余裕のあるエアフローが確保されている。サイドカバーにはCPUクーラーに向けた大型のエアファンネルが装着されているうえ、背面側にも大判のファンが搭載されている。冷却性を確保しつつ静音性も兼ね備えた専用の作りになっていることが見てとれる。ゲーム向けのPCとなると壮大な音を発するようなイメージを持つが、実際に電源を入れてみてもかなり静かな印象だ。
また、ストレージや光学ドライブ向けとしては、5インチベイが3基、3.5インチベイが2基、これにHDD用の専用ベイが用意されている。HDD専用ベイは、取り外しやすいようになっており、広々とした内部空間とあわせてメンテナンスも容易だ。さらに、80Plusの高効率を誇る850ワット電源が搭載されており、SLI構成やCrossFire X構成にも余裕で対応できる。ベースモデルとしては申し分のない作りだ。
●システムドライブをSSDに換装、しかもRAID 0で爆速に!
以上、i500PA4をざっと紹介した。標準構成ではCPUがIntel Core i7-860(2.8GHz)でメインメモリが8Gバイト、1TバイトのSATA HDDに、NVIDIAのGeForce GTX 285×2のSLI(カードはMSI製のN285GTX SuperPipe OC×2)、OSは64ビット版のWindows7 HomePremiumというスペックである。実際このままでも3Dゲームをプレイするには何ら支障はないはずだが、ここは一歩踏み込んでストレージをSSDのRAID 0に変更した。OS領域にSSDのRAID 0を採用して圧倒的な速度を実現し、そしてデータ用には別途SATAの1TバイトHDDを追加する構成だ。
Windows 7は64ビット版なので、標準搭載する8Gバイトのメインメモリ(DDR3-1333の2Gモジュール×4)を余すことなく利用できるし、CPUはIntel Core i7-860(2.8GHz)のままでもTurbo Boost Technology時は最大で3.46GHz駆動と、ゲームには十分な性能を確保している。また、現状の3DゲームはDirectX 9かDirectX 10ベースなので新世代アーキテクチャ“Fermi”は将来的にDirectX 11ベースのゲームが出てきてから考えればいいだろう――しかしストレージに関してSSDだけは譲れない、という判断だ。
その理由はWindows 7のエクスペリエンスインデックスからも見て取れる。CPUがハイエンド、メモリも潤沢、グラフィックスも十分高性能な構成でストレージがSATA HDDだった場合、HDDのスコアがアンバランスになってしまうのだ。ほかのベンチマークテストでもHDDが足を引っ張って総合スコアが低くなってしまうことが多い。そうした点からも、ここはSSD×2台によるRAID 構成にして、Windows 7のエクスペリエンスインデックスのスコアでオール「7」以上を目指したい。
というわけで、最終的なスペックは、CPUがIntel Core i7-860(2.8GHz)のまま変わらず、メインメモリも8Gバイトのままで、ストレージはインテル製の高速SSDを2台搭載した(80Gバイト×2)RAID 0に加えて別途1TバイトのSATA HDDを追加し、グラフィックスは1Gバイトのメモリを積むNVIDIAのGeForce GTX285を2基搭載したSLI構成とした。OSは64ビット版のWindows7 Home Premiumだ。
これをマウスコンピューターに依頼して快諾いただいたのが今回取り上げた「PC USER特別カスタマイズマシン」である。ちなみにこれと同じ構成は、G-Tuneの直販サイトでBTOにより選択することもできるのだが、その際の価格は25万円後半になる。当然、SSDのRAID 0構成が価格を大きく跳ね上げる原因だ。しかし、今回に限り特別価格として25万円を切る24万9900円という価格設定にしてもらった。実はBTOメニューで選んだ場合よりもかなりお買い得なのだ。
●圧倒的ではないか我が軍は――「オール7以上」を余裕で達成
さて、マウスコンピューターにかなり無理を言って作ってもらったPC USER特別モデルだが、実際にその性能を確認してみないことには本当にお買い得なのかどうか分からない。そこでおなじみの各種ベンチマークテストを実施してみた。
まず、Windows 7のエクスペリエンスインデックスのスコアだが、当初の目的通りすべての項目で「7」を超えた。特に、SSDのRAID O構成は効果が高く、スコアは7.9と最高値に達した。CPUとメモリのスコアはともに7.5、SLI構成にしたGeForce GTX 285×2が7.3と、ハイエンドゲーミングマシンにふさわしいスコアである。SSDのRAID 0を選んだのは大正解といったところだ。
次にベンチマークテストの結果を見ていこう。実施したのは、PCMark05、PCMark Vantage(x64)、3DMark 06、3DMark Vantageといった専用のベンチマークに、3Dゲーム系のFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、LOST PLANET体験版&ベンチマークDirectX 10版(64ビット)、THE LAST REMNANT体験版&ベンチマークである。標準では1280×1024ドットで計測しているがこのうち3Dゲーム系のベンチマーク(LOST PLANET体験版&ベンチマークDirectX 10版、THE LAST REMNANT体験版&ベンチマーク)では、1600×1200ドットでも計測している。また、今回はPCMark Vantageと3DMark Vantageで、コンシューマー向け最高峰のCore i7-980X Extreme Edition+Intel X58 Expressを搭載したシステムを比較対象に挙げている。こちらはグラフィックスがGeForce GTX 285の1枚挿しで、ストレージは1TバイトのSATA HDD(7200rpm)となっており、変態的な仕様のPC USERモデルと比べるにはちょうどいいだろう。
さて、結果はグラフの通りだが、HDDの性能でスコアが大きく影響するようなテスト項目では、SATAのHDDと比べて非常に高いスコアになるため、総合スコアを押し上げる結果となっている。CPUとグラフィックスがそこそこの性能を持っているのなら、高速なストレージにするだけで全体のパフォーマンスを引き上げられることが分かるだろう。3Dゲーム系のベンチマークでは、SLIの効果で高解像度でも描画パフォーマンスの落ち込みが少なく、各種効果を有効にしても3Dゲームを快適に楽しめる高い性能を証明した。CPU単体だけで10万円を超えるCore i7-980X Extreme Editionベースのマシンを総合力で上回る、まさに死角のないマシンだ。
以上、i500PA4のPC USER特別モデルを紹介したが、3Dゲームをバリバリ楽しみたいのであれば自信を持っておすすめできる製品に仕上がった。是非、SSD×2台のRAID 0による爆速体験をしてほしい。
このほか、今回の特別カスタマイズモデルでは、より安価に購入できるモデルとして、SSDの容量を40Gバイト×2のRAIDO 0に変更した構成(22万9950円)や、予算が潤沢にある人向けに、ゲームだけでなく地デジも楽しめる、ピクセラ製地デジチューナー「PIX-DT096-PE0」を追加した構成(26万9850円)も用意してもらった。高性能なPCをより安価に手に入れたい、あるいは、地デジの録画環境も同時にそろえたい、という人は、予算にあわせて最適なモデルを選んでほしい。【小川夏樹】
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