Core i7 Mobile Processorを披露するMooly Eden(ムーリー?エデン)副社長(General Manager, PC Client Group, Vice President, Intel)
その尖兵となるのは,「Intel Developer Forum 2009 San Francisco」(以下,IDF 2009 SF)で発表された「Core i7 Mobile Processor」(関連記事)だ。本製品には,シングルスレッドアプリケーションや,マルチスレッド対応が軽度に図られたアプリケーションなど,ゲームでありがちなアプリケーションのパフォーマンスを大きく引き上げることが可能になる,「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)が実装されている。
IntelがノートPC向けゲーム市場拡大の尖兵と位置づける,Core i7 Mobile Processorのラインナップ
Core i7 Mobile Processorの特徴。現時点において,ゲームのパフォーマンスに最も影響を与えるのは,デスクトップ版からさらにチューニングが進んだTurbo Boostだろう
Core i7 Mobile Processorに実装されるTurbo Boost。シングルコアおよびデュアルコア動作時のクロックアップ幅が拡大されている
Turbo Boostは,デスクトップPC向けのCore i7&i5でもおなじみだが,開発コードネーム「Clarksfield」(クラークスフィールド)と呼ばれていたCore i7 Mobile Processorでは,大幅なクロックの引き上げを可能にしている。 引き上げの段階は,ベースクロックとなる133MHz刻みで,シングルコア動作時は9?10段(=1.20?1.33GHz),デュアルコア動作時は最大7段(=933MHz),クアッドコア動作時は最大2段(=266MHz)。4コア,ましてや8スレッド処理など必要としない,大半の現実的なアプリケーションで,より高い性能を発揮できるよう,チューニングが施されているのだ。
ノートPCというか,ノートPC向けCPUの場合,どうしても消費電力設計や熱設計に,性能が左右される。この点,Core i7 Mobile Processorでは,4個のCPUコアの利用状況に応じ,積極的にTurbo Boostを利用したクロックアップを行うことで,1?2スレッド処理時の性能を高めることを可能にしている。 CPU内部で,コアの消費電力や発熱状況を監視するパワーコントロールユニットには,当該CPUの最大消費電力と動作温度といったデータが記憶されており,実際の消費電力やコア温度を比較しながら,リミットいっぱいまでクロックを引き上げていくのである。
Core i7 Mobile Processorの内部構造。負荷の低いCPUコアを休止し,その分の熱設計や消費電力の余裕を,1コアや2コアのクロックアップに充当するという仕組みになっている